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空き家の3000万円特別控除とは?相続後に使える条件と手続きポイントを解説

税金

堂満 竜太

筆者 堂満 竜太

不動産キャリア28年

1997年に地元大手不動産会社に入社し、2008年より現職。賃貸・売買仲介を通じて、多くのお客様の住まいに携わってきました。日本は本格的なストック型社会へと移行しており、既存住宅の価値を最大限に活かすことが不動産会社の使命です。私どもは「鹿児島の住まいにワクワクを!」をモットーに、中古住宅の魅力を引き出し、売主様の大切な資産の価値を高めるお手伝いをいたします。

相続した実家が空き家のままになっており、売却を検討しながらも税金や手続きが不安で動き出せない方は少なくありません。
そんなときにぜひ知っておきたいのが、空き家の譲渡所得に対する3000万円特別控除の制度です。
適用されれば譲渡所得税や住民税の負担を大きく抑えられる可能性がある一方で、細かな条件や期限が設けられており、理解せずに進めると控除が受けられないこともあります。
そこで本記事では、空き家3000万円特別控除の仕組みや適用条件、対象となる売却パターン、手続きの流れまでを整理し、相続した空き家の売却を失敗なく進めるためのポイントをわかりやすく解説します。

空き家の3000万円特別控除とは?対象と仕組み

いわゆる「空き家の3000万円特別控除」は、正式には「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」と呼ばれる制度です。
相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋やその敷地を一定の要件のもとで売却した場合に、譲渡所得から最高3000万円を差し引くことができます。
この特例は、空き家の発生を抑制しつつ、相続した空き家の処分に伴う税負担を軽減することを目的として設けられています。
適用対象となる期間は、平成28年4月1日から令和9年12月31日までの譲渡とされています。

この特例の対象となるのは、自分で購入した自宅ではなく、「相続した空き家」の譲渡によって生じた所得である点が重要です。
具体的には、被相続人が生前に居住していた家屋と、その敷地に当たる土地を、相続人が取得したうえで売却した場合が対象となります。
一定の要件を満たす「被相続人居住用家屋」または「被相続人居住用家屋の敷地等」に限られ、たとえば賃貸用として貸していた建物などは対象外となります。
このため、まずは相続した不動産が「被相続人居住用家屋」に該当するかどうかを確認することが出発点になります。

空き家の3000万円特別控除が適用されると、譲渡所得の金額から最高3000万円(相続人が3人以上で家屋と敷地のいずれも相続した場合は2000万円)が差し引かれます。
譲渡所得は、売却価格から取得費や譲渡費用などを差し引いて計算され、その残りが課税の対象となりますが、この特例を使うとその金額からさらに特別控除額を差し引くことができます。
結果として、所得税と個人住民税の負担が大きく軽減され、ときには税額が0円となる場合もあります。
相続した空き家の売却を検討している方にとって、税額に直結する極めて重要な制度といえます。

項目 内容 確認のポイント
制度の正式名称 被相続人居住用財産の特別控除 空き家特例の正式名称確認
対象となる不動産 相続した被相続人居住用家屋等 相続による取得かどうか確認
控除される金額 最高3000万円または2000万円(1人あたり) 相続人の人数と控除額確認

空き家3000万円特別控除の主な適用条件

空き家の3000万円特別控除を受けるためには、まず被相続人と家屋に関する条件を満たす必要があります。
被相続人が1人で居住していた家屋であること、相続開始直前に被相続人以外の人の居住がなかったことが求められます。
なお、被相続人が亡くなる直前に老人ホーム等に入所していた場合でも、一定の要件を満たせば「居住していた」とみなされ、特例の対象となります。さらに、その家屋が昭和56年5月31日以前に建築された旧耐震基準の住宅であり、区分所有建物でないことが条件とされています。
これらの基本的な要件を満たしているかどうかを、相続の段階から整理しておくことが大切です。

次に、相続してから売却するまでの期間や譲渡価格にも注意が必要です。
相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、家屋または家屋取壊し後の土地等を譲渡することが期限とされています。
また、譲渡対価の額が1億円以下であることや、他の居住用財産の特別控除など重複する特例を同じ譲渡で併用できないことも重要な条件です。
売却時期や価格の見込みが立った段階で、期限と金額の条件を早めに確認しておくと安心です。

さらに、相続人の人数によって控除額が変わる点も見落とせません。
家屋と敷地のいずれもを同じ相続人が取得している場合、相続人が1人または2人であれば、それぞれの譲渡所得から最大3000万円まで控除を受けられます。
一方、相続人の数が3人以上の場合には、1人あたりの特別控除額は2000万円に制限されます。(※家屋全体での控除額は2000万円×人数分となります。)
誰がどの持分を取得し、どのような割合で売却するかにより控除額が変わるため、相続分の決め方の段階から税負担を意識した検討が必要になります。

確認項目 主な条件 注意したい点
家屋の要件 被相続人が1人で居住(老人ホーム入所も可)
昭和56年5月31日以前建築
区分所有建物は対象外
譲渡の期限等 相続から3年経過年末まで
譲渡対価1億円以下
他の特例との重複適用不可
相続人の人数 1〜2人は各3000万円
3人以上は各2000万円
持分配分で控除額が変動

空き家特例の対象になる売却パターンと注意点

空き家の3000万円特別控除は、家屋を残して売る場合と、取り壊して更地として売る場合のどちらにも適用されます。
ただし、いずれの売却パターンでも、一定の耐震性を満たしていることや、相続から譲渡までの期間、譲渡価格など、細かな条件があります。ただし、買主が耐震改修や取壊しを行う場合は、「譲渡した日の翌年2月15日まで」にその工事が完了していることが適用条件となります。年末近くの売却だと、工事が間に合わず控除が受けられないリスクがあるため、余裕を持ったスケジュール管理が欠かせません。
そのため、まずは自分が検討している売却方法が制度の対象になるかどうかを整理して確認することが大切です。
ここでは、代表的な売却パターンごとの条件と注意点を見ていきます。

家屋を残して土地と一緒に売却する場合は、耐震基準を満たしているかどうかが重要なポイントになります。
耐震性が不足している家屋については、売却前に耐震改修を行うか、令和6年1月1日以降の譲渡であれば、買主が譲渡後に耐震改修を行う場合でも特例の対象に含まれると整理されています。
また、相続開始時から譲渡までの間、その家屋を人に貸したり、事業用に使ったりしていないことなど、ほかの一般的な要件も満たす必要があります。
耐震改修を前提に売却計画を立てる際は、工事の時期や契約内容が要件に合っているか、事前に確認しておくことが重要です。

家屋を取り壊して更地として売却する場合も、空き家特例の対象となり得ます。
相続人が先に家屋を取り壊して土地を譲渡する場合に加え、令和6年1月1日以降の譲渡では、売買契約に基づき買主が譲渡後に取壊しを行うケースも適用対象とされています。
一方で、相続の開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡することや、譲渡対価が1億円以下であることなど、基本的な条件は満たさなければなりません。
更地で売却するかどうかを判断する際には、解体費用と税負担軽減の効果の両面から検討することが大切です。

空き家の3000万円特別控除は、譲渡先との関係によっては適用できない場合があります。
特に、子や配偶者など、相続人と特別な関係にある親族への売却や、贈与による名義変更は、特例の対象外とされています。
また、親族の家に転居していた場合や、相続後に賃貸住宅として活用していた場合など、一見似ている状況でも要件を満たさないケースがあります。
親族間での話し合いで売却先を決めるときには、税制上の特例が使えなくなる可能性を踏まえたうえで検討することが重要です。

売却パターン 特例が使える主な条件 注意したいポイント
耐震改修後に家屋付きで売却 耐震基準適合・1億円以下 翌年2月15日までの工事完了が必須
家屋取壊し後に更地で売却 相続から3年経過年末まで 翌年2月15日までの工事完了が必須
親族以外への通常の売却 特別な関係のない買主 賃貸利用がないかの確認

空き家3000万円特別控除を受けるための手続きと必要書類

空き家の3000万円特別控除を受けるには、必ず確定申告で特例の適用手続きを行う必要があります。
まず、譲渡した年の翌年に、税務署へ確定申告書と添付書類一式を提出します。
その際、一般的な不動産の譲渡所得の申告に加えて、空き家特例を受けるための書類をそろえることが重要です。
事前に準備の流れを理解しておくことで、期限内に落ち着いて手続きを進めることができます。

次に、必要書類としては、登記事項証明書や売買契約書の写しなど、不動産の内容と譲渡時期を確認できる資料が求められます。
さらに、相続した空き家が要件を満たしていることを証明するため、「被相続人居住用家屋等確認書」が不可欠です。
この確認書は、家屋の所在する市区町村に申請し交付を受けます。自治体によっては発行までに数週間かかることもあるため、確定申告の直前に慌てないよう、売却後は速やかに申請準備を始めるのがコツです。


耐震改修を行った場合は、耐震基準適合証明書など、工事内容を示す書類も併せて用意しておくと安心です。

また、この特例の適用期限は、令和9年12月31日までの譲渡が対象とされています。
ただし、相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡する必要があるため、相続からの期間にも注意しなければなりません。
さらに、確認書の申請時には、電気やガスの使用中止日が分かる書類など、相続後に入手しにくくなる資料も含まれますので、早めに収集を始めることが重要です。
全体のスケジュールを意識して準備を進めることで、控除を確実に受けられる可能性が高まります。

手続きの段階 主な必要書類 早めに確認したい点
譲渡前の準備段階 登記事項証明書・売買契約書案 相続開始日と譲渡期限の確認
確認書取得の段階 被相続人居住用家屋等確認書申請書類 電気・ガス中止日が分かる資料
確定申告の段階 確定申告書・確認書・契約書写し 譲渡所得の計算内容の整理

まとめ

空き家の3000万円特別控除は、条件を満たせば譲渡所得税などの負担を大きく抑えられる、とても有利な制度です。
一方で、建築時期や被相続人の居住状況、相続から譲渡までの期限、売却先や売却価格など、細かな要件を丁寧に確認する必要があります。
複数の相続人がいる場合の控除額の配分や、必要書類の準備、確定申告の進め方に不安がある方も多いはずです。
当社では、空き家の売却と3000万円特別控除の条件整理から手続きのサポートまで、わかりやすく丁寧にご案内します。
「うちの場合は使えるのか」を知りたい方は、まずはお気軽にご相談ください。

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